#03-02-1_2-1期待値の高いエリアでのシュートを目指す
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- この章についての振り返りを見る
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02 攻防の基本原理
#03-02攻防の基本原則 INDEXシュートの期待値を上げる期待値の高いシュートとは何か。そのために必要なプレーは何か
- チームオフェンスの目標 – シュートの期待値を上げるための方法論
- 期待値の高いシュートを選択する
- DFを見て、DFのミスをつく
- 広いスペーシング・良いポジショニングで攻める【位置的優位性】
- チームで優位性【アドバンテージ】を作る/攻める
- 個人で優位性(アドバンテージ)を作る/攻める
この③章では、勝敗に関わる3要素
- シュートの期待値
- ORB
- TOV
のうち、【シュートの期待値】を上げるためのプレーモデル(プレーの原則)を示します。
1.期待値の高いシュートを選択するチームで期待値の高いエリアでのシュートを目指し、良いシュートを打つ
- 期待値の高いエリアでのシュートを目指す
- 適切なシュートセレクションでタフショットを避ける
期待値の高いシュートは
【期待値の高いシュート】=【期待値の高いエリア】×【良いシュートセレクション】
と定義できると考え、この章では、期待値の高いシュートを選択するために
- 期待値の高いエリア
- 良いシュートセレクション
を整理し体系化していきます。
期待値の高いエリアでのシュートを目指す
どんなシュートをチームで狙うのか、共通認識を持ちOFを遂行する
- シュートエリアによる基本的なシュートの期待値
- オフェンスの狙いとフロー
- ゴール下を攻める
- ファウルドロー
- オープン3pt
どんなシュートをチームで狙うのか、共通認識を持ちOFを遂行する

シュートの期待値は、おおよそシュートを打つ場所で決まっています。
当たり前ですが、ゴールに近ければシュートの確率は上がるので、期待値も上がります。
どこでシュートを打つためにチームオフェンスを遂行するのか、チームでしっかりと共通認識をもつことが大切です。
シュートの期待値とは?【復習】
- シュートの期待値の復習が必要な方はこちらをご覧ください
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シュートの期待値とは
- 【シュートの期待値】=【シュートの得点】×【シュート確率】
-
で求まる値。
シュート1回当たりに期待できる得点
バスケットボールには1ptシュート(フリースロー)、2ptシュート、3ptシュートがあるので、シュートの確率だけではシュートの良し悪しは測れず【期待値】を考える必要があります。
期待値について書いた記事はこちらです。
参考記事
#03-01-2_1チームの得点はどうやって計算できるか【期待値の考え方】
シュートエリアにおける期待値の概念は非常に有名で、シュートの期待値というとまずこのことだと認識されてると思います。
それほど基礎的な概念なのでしっかり押さえておきたいです。
これまでの膨大なデータから、シュートを打つエリア(と状況)によっておおよそのシュートの期待値は決まっています。
以下は
『バスケットボールの教科書2』鈴木良和
に出てくるものです。ペイントのみ私の経験上の値になります。

期待値の高い順に並べると
- ゴール下ノーマーク(1.8)
- フリースロー(1.4)
- ゴール下競り合い(1.2)
- オープン3pt(0.9)
- ペイントエリア(0.8)
- それ以外(0.8以下)
となります。
PPP>0.8やPPP>1.0を目標とするならば、上記6つ以外のシュートは極力打ちたくない、ということになります。
上記のエリア別の期待値が大まかな期待値ですが、これは年代やチーム事情によって変わってくるでしょう。
たとえば、育成年代の多くのチームでは試合でオープン3ptは30%も入らないと思いますし、身長の低い選手はゴール下の競り合いは60%で決めることはできないでしょう。
ゴール下やオープン3ptを打つことが目的ではありません。期待値の高いシュートを打つことが目的です。
ここを勘違いしてはいけません。
また、単に止まるスキルがないため、ドライブからランニングステップを踏んでヘルプが待ち構えているゴール下でとんでもないタフショットを打つようなケースもよくみられます。
この場合、ゴール下へ行く前にペイントでプルアップジャンパーを選択した方が期待値が高くなるのは明らかです。
このようなシュートセレクションも大切です(次節参照)。
よって、期待値の高いシュートを
【期待値の高いシュート】=【期待値の高いエリア】×【良いシュートセレクション】

と考えるわけです。
自チームにおいてどのようなオフェンスを目指せば期待値の高いシュートが打てるか、を常に考え、実際の試合では期待値を計算して効率の良いオフェンスが遂行できているかを確認していきましょう。
エリアごとの期待値を図るための記録用紙と、そこから自動でスタッツ分析をしてくれるエクセルシートをnoteにて販売しています。
自分で作ることもできますが、結構時間がかかりますので購入していただければ相当な時短になると思います。
お忙しい指導者の方が多いと思いますので、ぜひご活用ください。


以上より、オフェンスは以下の一連の流れが目指すべき姿としてイメージされます。
- フリーのゴール下を作る努力をしてゴール下に侵入し(ゴール下ノーマーク)
- ファウルを引き出す駆け引きをして(フリースロー)
- ゴール下のシュートを狙う(ゴール下競り合い)
- それにヘルプが来たらキックアウトして3ptを狙い(オープン3pt)
- 止めに来たクローズアウトに対して1v1で最低限コンテストのないペイントショットを狙う(ペイントエリア)
それ以外のシュートで終わるオフェンスは効率の悪いオフェンスになります。
この順序をしっかり頭に入れてチームで共通認識をもってチームオフェンスを構築する必要があります。
日本代表のトムホーバス氏が取り組んでいた「ゴール下or3pt」のバスケットはまさにここからきているわけです。
間違った5outオフェンス
育成年代ではポジションを固定せずに、5outでスキルを身につけさせるということが当たり前になっています。
しかし「5out」「外から」「3pt」というキーワードが一人歩きをして、ただ外でパスを回して3ptを打つようなオフェンスをしているチームが一時期散見されました。もしかすると今もそうかもしれません。
これはまさに「オフェンスの目標」を見失った典型例です。
オフェンスは最も期待値の高い「ゴール下のノーマーク」を狙うことから始まります。
もちろんレベルが上がれば上がるほど、DFはノーマークのゴール下を打たしてはくれませんから、一見するとそれ以外のシュートを狙いに行っているように見えるかもしれません。
しかしそれは、「ゴール下を狙う→ゴール下を守る」という大前提をO/Dがそれぞれ行なった結果なのです。
男子ホーバスジャパンも就任直後はこの部分が選手に浸透しておらず、ペイントアタックせずに回して3ptやタフな状況での3ptが多く見られたため、あまり上手くいきませんでした。
しかしWCでは、ホーキンソン選手のゴール下でのプレーや河村選手・富樫選手のG陣がドライブでペイントアタック多く試みたため、オフェンスがうまく回る時間帯が多くなりました。
ゴール下のノーマークを作るプレー
前述のように、ゴール下でノーマークを作るプレーが最も良いプレーです。
ゴール下でノーマークを作るプレーにはどんなものがあるでしょうか?
例えば
- バックカット(バックドア)
- バックスクリーン
などがあげられると思います。
プレーモデルからOFを構築する
このことから、私はフロントカットよりもバックカット、ダウンスクリーンよりバックスクリーンを好んで使っています。
その理由で、私はプリンストンオフェンスが大好きなのです。
ダウンスクリーンも第一オプションはリジェクト
UCLAカットもバックスクリーンで使います。
このように私はプレーモデルを整理したこと「まずはゴール下にフリーを作る動きから全てを始める」という原則が自分の中で明確になり、自チームで取り入れるべきアクションの基準クリアになりました。
その結果、流行りのセットやNBAのセットをとりあえずやっていて失敗するといったことはなくなりました。
「戦術を真似ても上手くいかない」のはプレーモデルが整理されていないからなのです。
NBAやNCAAのプレーも自分のプレーモデルにあったものだけ、あるいはプレーモデルに合うようにアレンジしたものだけを取り入れています。


どんなプレーモデルを採用するかは指導者次第
当たり前ですが、どんなプレーモデルを設定するかは指導者とそのチームの事情によって異なります。
例えばウォリアーズですとカリーの3ptの方がOF効率が良いので第一オプションは3ptでその裏の手がバックカットという順番になっていますし、ビッグマンが複数いて高さはあるが機動力に欠けるようなチームはバックドアは合わないでしょう。
当然、コーチ自身がどんなプレーを教えるのが得意かということも深く関わってきます。
ゴール下を攻める
プレーの原則として、最も期待値の高いゴール下を攻めることを常に1番に考えます。
チームの戦術を決定する際も指導者が考えるべきは「どうやってゴール下を攻めるか」です。
- マッカビオフェンス・・・PnRでゴール下を攻める
- DDM(Dribble Drive Motion)・・・ドライブでゴール下を攻める
- プリンストンオフェンス・・・バックカットでゴール下を攻める
- FLEXやShuffle・・・スクリーンでゴール下を攻める
モーションオフェンスを遂行する際に、オフェンスフローを実行していくことに意識がいき「ゴール下を攻める」意識が希薄になってしまうことがよく起こります。
常にこの共通認識を確認しながら練習していかなければいけません。
「ゴール下を攻める」とは具体的には
セミサークル(キラースポット)でボールを受ける/シュートする
ことです。
- キラースポット
-
ミサークルのトップ

多くのプレーヤーはゴール下を攻めていない
この点をかなりしっかり指導しないと、カッティングやダイブのときにプレーヤーは基本的にポストやコーナーなどの「ステイするスポット」を目指してしまいます。
さらに、多くのプレーヤーはアウトサイドでボールを受けることを第一優先に考えているように感じられるプレーをしています。
「ゴール下を攻める」は当たり前のように感じるかもしれませんが、実際にはほとんどの選手はできていません。
それは、ここで取り上げている「オフェンスの狙いとフロー」がしっかりと共通認識としてチームに浸透していないからだと考えています。
- オフェンスの狙いとフロー(確認)
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オフェンスの狙いとフロー
- ゴール下でフリーを作る努力をしてゴール下に侵入し(ゴール下ノーマーク)
- ファールを引き出す駆け引きをして(フリースロー)
- ゴール下のシュートを狙う(ゴール下競り合い)
- それにヘルプが来たらキックアウトして3ptを狙い(オープン3pt)
- 止めに来たクローズアウトに対して1v1で最低限コンテストのないペイントショットを狙う(ペイントエリア)
さて、このことについては、カリーが以下の動画で語っていることが全てです。
ボールミートに対するカリーのアドバイス
ただ単にアウトサイドでボールを受けるというプレーは「最も弱いプレー」であり、スクリーン、アウェイ、フロントカット、バックカット、「全ての意思決定の最後に行うべきプレー」である。
セミサークルでボールを受けるプレー
実際に、セミサークルでボールを受けるプレーを見てみましょう。
一方で、セミサークルでボールを受けるチャンスがあるにもかかわらず、ゴール下を攻めずにポストなど場所を目指してしまうケース
次の動画との違いを比べれば、オフェンスの怖さは歴然です
次のJBのプレーもわかりやすいです。
まずゴール下(セミサークル)でボールをもらうためにプレーし、それがだった場合(この動画の場合は3秒バイオレーションになりそうだったため)にポストで受けています
次のプレーも、多くの育成年代のプレーヤーはポストへ流れてしまうケースですがしっかりセミサークルでボールを受けること意識しています。
どちらもセミサークルで受けることを第一に考えているとわかるプレーです
ボールをもらうこととバックドアでは、バックドアが優先される要
バックドアはゴール下でほぼノーマークでシュートができるかなり強力なプレーです。
よって、第一優先で狙うべきプレーですが、これも多くのチームでは、広がってボールを受けることが優先されているように感じます。
ボールを受けることよりバックドアがファーストオプション
バックドアを狙う→相手が下がる→ボールを受ける
「ボールをもらう」ことが目的になり、ディナイされて足が止まる・さらに広がってもらおうとするプレーヤーは非常に多いです。
バックドアがファーストオプションであるという共通認識ができれば、ディナイされたらラッキーです。
リングに対してカットすること全般を「バスケットカット」と呼びます。
この動画のケースでは、バックドアではなくスリップですが、大切なのは一つひとつの細かなスキルの差異ではなく、「ゴール下をファーストオプションに攻める」という原則の共有なのです。
ファウルドローを狙う
期待値が2番目に高いと考えられているのがフリースローです。
- ゴール下ノーマーク(1.8)
- フリースロー(1.4)
- ゴール下競り合い(1.2)
- オープン3pt(0.9)
- ペイントエリア(0.8)
- それ以外(0.8以下)
ゴール下(セミサークル)に侵入できたら、かわしてシュートを打つよりもまずはポンプフェイクで飛ばしてファウルドローを狙います。
ポンプフェイクにかからない場合はステップを踏み、フェイクを使って揺さぶりながらファウルを引き出します。
フェイクを使ってファウルを引き出しながら、DFがファウルを警戒したらかわして良いシュートを打ちます。
- ポンプフェイクでファウルドロー
- ステップとフェイクでファウルを引き出す
- DFがファウルを警戒したら、かわしてシュート
ファールを受けた場合、フリースローを得られるだけでなく、AND1の可能性がありますから期待値はさらに高くなります。
育成年代の選手はどうしてもかわしてシュートを狙いがちです。
NBAのプレーヤーを見れば、かなりファウルドローに重きを置いていることがよくわかります。
(いきすぎてフロップのプレーが増加傾向なのは面白みに欠けますが・・・)
しっかりセミサークルに侵入し、そこからファウルドローを狙っています。
特にサイズがあるわけでも身、体能力がずば抜けているわけでも、圧倒的な1v1の能力があるわけでもないのに「優勝請負人」といわれているホリデーは、本当にバスケIQが高く、常に合理的で効率的なプレーをコート上でし続けている選手です。
ドンチッチもリング周りのフェイクやステップが上手い選手です
リング下でしっかりステップ(ピボット)を踏み、フェイクを使って相手を揺さぶりながらファウルを引き出します。
DFがファウルをしないようにコンテストに対して消極的なプレーした場合、かわして期待値の高いシュートを打つことができます。
オープン3pt
次に期待値の高いプレーがオープン3ptです。
昔から効果的なプレーとされている「インサイドアウト」はまさに、期待値の原則に従ったプレーだったと言えるわけです。
ポストアップ、カッティング、ドライブでゴール下を攻めることで、初めて効果的な3ptを打つことができます。
オープン3ptを打つためにはDFに「2wayクローズアウト」をさせることが大切です。
- 2wayクローズアウト
-
重心の移動が伴うクローズアウト。DFがカウンターを取られて、クローズアウトしなければならないようなシチュエーションで起こる。
DFに2wayさせるためには、逆をつく(カウンター)必要があります。その意識は重要です。
DFに2wayクローズアウトを強いて、オープン3ptを打つための原則は以下の3つです。
- ポストアップでインサイドアウト
- カッティングでDFを引き付けて、後ろのスペースを狙う
- ドライブでDFを引き付けて、キックアウトする
どれも、まずゴール下への侵入(ペイントアタック)から引き出されています。
最近流行りの「5out」や「3pt主体」のオフェンスはこの点を必ずおさえた指導をしなければいけません。
オーソドックスなポストアップからの「インサイドアウト」
カッティングでDFを引き付けて後ろスペースで3ptを狙う。
私が独自に「ABC(Attack Behind the Cut)」と呼んでいる非常に効果的なプレーです。
ドライブでゴール下を攻め、「キックアウト」から3pt
1wayではオープン3ptにはならない
よくありがちなエラーとして、3ptを打たせるために「ポストアップ/カッティング/ドライブ&キック」を遂行するのですが、すべて1wayクローズアウトで対応されてオープン3ptが打てないケースです。
ポストアップ/カッティング/ドライブ&キックはあくまで手段であり、引き出したいのはDFの2wayクローズアウトです。
2wayを引き出す意識がないポストアップ/カッティング/ドライブ&キックのプレーが散見されるので、指導の際には注意が必要です。
ドライブ&キックに対して1wayで対応
ポストアップからインサイドアウトに対して1wayで対応
まとめ
どんなシュートをチームで狙うのか、共通認識を持ちOFを遂行する
- シュートエリアによる基本的なシュートの期待値
- オフェンスの狙いとフロー
- ゴール下を攻める
- ファウルドロー
- オープン3pt
- シュートの期待値はエリアと状況によっておおよそ決まっている
- ゴール下ノーマーク(1.8)
- フリースロー(1.4)
- ゴール下競り合い(1.2)
- オープン3pt(0.9)
- ペイントエリア(0.8)
- それ以外(0.8以下)
- 年代やチーム事情によってエリア別の期待値は変わるので、自チームの期待値の高いシュートをしっかり見極めてオフェンスを構築する
- 期待値の高いエリアでのシュートを指向してオフェンスを構築する
- オフェンスの狙いとフロー
- ゴール下でフリーを作る努力をしてゴール下に侵入し(ゴール下ノーマーク)
- ファウルを引き出す駆け引きをして(フリースロー)
- ゴール下のシュートを狙う(ゴール下競り合い)
- それにヘルプが来たらキックアウトして3ptを狙い(オープン3pt)
- 止めに来たクローズアウトに対して1v1で最低限コンテストのないペイントショットを狙う(ペイントエリア)
- ①ゴール下 ②ファウルドロー ③オープン3ptを狙う共通認識をもつ
- ゴール下を狙うプレー
- セミサークルでボールを受ける・キラースポットを狙う
- ファウルドローを狙うプレー
- ポンプフェイク
- ステップとフェイク
- DFにファウルを警戒させて、かわしてシュート
- オープン3ptを狙うプレー
- 2wayクローズアウトさせる
- ポストアップ→インサイドアウト
- カッティングの後のスペースを狙う(ABC)
- ドライブ&キック
- 2wayクローズアウトさせる
















