#03-02-1_4-1 広く深いスペーシングから広いスペースを攻める
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2#03 Play Model攻防の基本原理
#03-02攻防の基本原則 INDEXシュートの期待値を上げる期待値の高いシュートとは何か。そのために必要なプレーは何か
- チームオフェンスの目標 – シュートの期待値を上げるための方法論
- 期待値の高いシュートを選択する
- DFを見て、DFのミスをつく
- 広いスペーシング・良いポジショニングで攻める【位置的優位性】
- チームで優位性【アドバンテージ】を作る/攻める
この③章では、勝敗に関わる3要素
- シュートの期待値
- ORB
- TOV
のうち、【シュートの期待値】を上げるためのプレーモデル(プレーの原則)を示します。
4.広いスペーシング・良いポジショニングで攻める【位置的優位性】DFが守らなければならないスペースを広げる。
DFが2つのことを同時に守れないようにポジショニングする。- 広く深いスペーシングから広いスペースを攻める
- DFに守られない/守らせないポジショニング
- 意図的に良いポジショニングをし、常に微調整し続ける
この原則の目的は
DFが守らなければならないスペースを広げる。
DFが2つのことを同時に守れないようにポジショニングする。

DFが守らなければならないスペースを広げる
基本的にはOF間の距離が広がるほどDFが守るスペースも広がります。
しかし、パスの距離が長くなるほど、パスが飛んでいる間にDFが移動できる距離も長くなります。ただ広がってステイしているだけだとDFはOFの位置を的確に把握することができているので、プロアクティブ(=先に動く・予測で動く)に対応することが簡単になるので、守ることのできる距離がさらに広がります。
つまり、効果的なオフェンスのためには、ただ広くスペーシングだけではなく次のポジショニングに関する原則も同時に考えなければなりません。
DFが2つのことを同時に守れないようにポジショニング
マークマンがただステイしているだけではなくてムービングしてくる、とDFが意識すると、DFはプロアクティブには動けなくなり実質的に守ることのできるスペースは狭くなります。
したがって、カッティングすることでOF間の距離は短くなり、「盤面上のスペーシング」は狭くなりますが、実質的にDFが守ることのできるスペースは狭くなっているので、効果的なオフェンスが遂行できます。
つまり
効果的なオフェンスためのポイント- OF間の距離を取り、DFが守るべきスペースを広げる(スペーシング)
- 動いてDFを崩して、実質的にDFが守れるスペースを狭くすること(ポジショニング)
のバランスがとても大切になると考えています。
「DFが2つのことを同時に守れないようにポジショニング」することにはすべての場面で重要です。
ポジショニングについて『恩塚メソッド』には以下のように書かれています。
プレーの良し悪しはポジショニングによって決まると言っても過言ではなく、ポジション力を極めることがより重要。

かなり根気が必要ですが、プレイヤーのポジショニングを徹底して修正して、ポジショニング力を高めていくことが育成年代では特に重要になると考えています。
DFが守りづらいポジショニングをとり【位置的優位性】を得る
広いスペースを取り、DFを見て効果的なオフェンスが遂行できるようにDFが守りづらいポジショニングする。
そうして位置的優位性を作って攻める。
位置的優位性があることが、良いオフェンスの前提条件になります。
広く深いスペーシングから広いスペースを攻める
広いスペースを作り、そのスペースを効果的に攻める
- 広く深くスペーシング
- スペーシングのためポジショニング
1.4ptラインを動く
2.スペーシングのためのスポットにステイする
①ヒューストンスポット ②コーナー ③ダンカースポット
- スペーシングのためポジショニング
- 広いスペースを攻める
- ダブルギャップをつくり攻める
①カッティングでダブルギャップを作る
②スクリーンでダブルギャップを作る
- ダブルギャップをつくり攻める
広いスペースを作り、そのスペースを効果的に攻める

この章では、スペーシングの原則を整理します。
スペーシングは、現代バスケットボールでは、最も重要視されている要素です。
しかし、育成年代のプレーヤーの意識が低い部分です。
指導者とプレーヤーの認識に最も差がある要素の一つではないでしょうか。
広く深くスペーシング
のプレーを整理していきます。
- スペーシングのためポジショニング
- 4ptラインを動く(広さを作る)
- スペーシングのためのスポットにステイする
①ヒューストンスポット(広さを作る)
②コーナー(広さを作る/深さを作る)
③ダンカースポット(深さを作る)
スペーシングの基本としてまず、不用意に3ptラインの内側に入らないことを徹底します。
ポジショニングに対して無頓着なプレーヤーは、無意識にリングやDFに近づいていきます。正しくはその逆で、なるべくDFから距離を取るようにポジショニングすることが基本です。
そのために、仮想ラインである”4ptライン“を想定し、それよりも外側を動くようにします。
そしてスペーシングのためにステイする場合は、基本的には以下のいずれかのスポットに留まります
- ヒューストンスポット
- コーナー
- ダンカースポット
これら4つを用語も共有して、徹底していくことが大切です。
まずはそれらを図で示しておきます。


アメリカではこれらがコートに描かれていることも多いようです。

レイカーズの練習コート

4ptラインを動く(広さを作る)
先ほど図と画像で示しましたが、”4ptライン”とは、3ptラインのおよそ1mほど外側の仮想ラインです。
コート上を動く際に4ptラインを目安に動くとDFとの距離が取れてスペースが広がります。
指導しないとプレーヤーは3ptライン上を動きがちなので、その都度指摘していくことが必要です。
4ptラインを動くことで、特にパスラインを確保しやすくなります。
DFを見れるようになると、パスラインが確保できているかどうかはすごく気になるのですが、DFがうまく見れない段階では、パサーレシーバーともにパスラインに対して無頓着でその結果パスミスが発生します。
まず、4ptラインを動くことを徹底しながらDFを見てパスラインを確保する意識も習慣化していきます。


さらに、4ptラインを動くことのメリットは、スペーシング以外にもあります。
4ptラインを動くことでC&Sが打ちやすい
その重要なメリットは、C&S(キャッチ&シュート)が打ちやすくなることです。


さらにスペーシングの悪いプレーヤーは3ptラインの内側にポジショニングしていて、パスが来た瞬間にステップバックしてシュートしたりします。
明らかに確率が落ちる最悪のシュートです。


実際にNBAや国際大会を見てみると、カッティング以外ではほとんど4ptラインの内側には入っていないことがわかると思います。
スペーシングのためのスポットにステイする
- ヒューストンスポット(広さを作る)
- コーナー(広さを作る/深さを作る)
- ダンカースポット(深さを作る)

スペーシングのためには、これら3つのスポットでステイします。
特にスロットからのPnRなどでこのスペーシングは多様されています。


コーナーの活用はかなり進んできたように感じますが、ダンカースポットに関してはまだまだ徹底されているチームは少ないように感じます。
深さを作ることの重要性
“スペーシング”といった場合に、”広さ”のことだけを捉えがちですが、”深さ”も重要です。
コーナーやダンカースポットは”広さ”を作るためだけでなく、むしろ深さを作るためのスポットです。
なぜ深さを作ることが重要かというと、深さを作ることで「視野の闘い」が有利になるからです。
育成年代の選手のほとんどはポジショニングに意識を払っていない
コーナー・ヒューストン・ダンカーに位置することは、ただ決められたスポットに立つだけなので、さほど難しいこととは思わないかもしれませんが、育成年代の選手にとってはそうではありません。
なぜなら、多くの選手は、ポジショニングの微差がOFの成否の違いにつながるとは思っていませんし、そもそも自分の立ち位置の微差などに意識を払っていないからです。
ローポストに立とうがダンカーに立とうが、大して変わらないと思っているプレーヤーが大半です。
そもそも今自分がどこに立っているかに意識を払えてすらいません。ぼんやり立っています。
後の節で取り上げますがほとんどの場合は、まず意識的にポジショニングする、ポジショニングが重要だと認識するところからスタートしなければいけません。
ここは多くのチームにとっては時間のかかる部分だと感じています。
広く深いスペーシングでスペースを作ることができたら、ボールマンがその広いスペースを攻めます。
もちろん、オフボールのカッティング等で攻めても良いですが、ここではボールマンが攻めることを整理します。
カッティングで攻める場合は、スペース以外にも前章の【ポジショニングの闘い】【視野の闘い】や、グループ戦術的な要素がプレーの判断や可否に与える影響が大きいため、ここでは扱っていないのです。

シングルギャップとダブルギャップ
プレイヤー間のスペースを”ギャップ”と呼びます。
これも一般的な定義は別にあるかもしれませんが、私はDFとDFの間のスペースをギャップと呼んでいます。
一方で、OFとOFの間の距離は”スパン”と呼んでいます。
- ギャップ
-
DFとDFの間のスペース
- スパン
-
OFとOFの間の距離




1スパンの目安は5m(およそペイントエリアの短辺)でパスを繋ぐには1スパンの距離が重要になります。1スパンの感覚も養っていく必要があります。
基本的には、OFが2スパンの距離を取ることで、ダブルギャップが生まれます。
ただし、当然DFのシステムによっては、OFが2スパンの距離をとっても、DFにはダブルギャップが生まれない場合もあります(ゾーンDFがその代表例)。DF間のスペースを読み取ることが重要です。
ダブルギャップを攻める
さて、具体的にボールマンがスペースをドライブで攻める場合、基本的にダブルギャップを攻めることを原則とします。
そのため、ドライブを攻撃の主体として組み立てる場合、OFシステムとしてダブルギャップを作るモーション、あるいは約束事を設定しておく必要があります。
特にU15世代ではドライブ主体のチームが多いですが、上位チームを除けば、各々が各々のタイミングでドライブしているようなケースが多く、チームとしてダブルギャップを作る意識のあるチームはそれほど多くない印象です。
そこは指導者の役割としてしっかり設定してあげましょう。
スクリーンやカッティングでスペースを作る
では、具体的にダブルギャップを作るプレーを整理していきます。
スペーシングというと、広がってステイする印象があると思いますが、それだけではありません(もちろんそれもスペーシングの1つです)。
特に5outのアライメントでは、確かに広がっていますが基本的にはダブルギャップを作ることはできません。


そもそも、「整ったアライメント」というのは選手間の距離が1スパンになるように設定されています。
そのため、実際にダブルギャップを作って攻める際には、何かアクションを起こして、「アライメントを崩して」から攻める必要があります。
そのアライメントを崩すアクションがスクリーンとカッティングです。
以前にも書きましたが、「育成年代で5out」といったときにこれが意識されているのか疑問が残ります。
各々が広がってただシングルギャップにドライブしているだけ、のケースも散見されます。
もちろんDFのレベルが低い間はそれでもフィニッシュまでいけるかもしれませんが、レベルが上がれば通用しなくなります。
U12においても、少なくとも【01バスケットボールの基本原理】【02攻防の基本原則】までのバスケットIQは、しっかり身に付けさせておかなければならないと考えています。
カッティングでアライメントを崩して、ダブルギャップを作ります。

すこしレベルは上がりますが、コーナーカットからも同様にできます。

トップからのストレートカットでもダブルギャップが作れます。


Orange Sunshines -市立柏高校女子バスケットボール部-さんが投稿されている解説の動画がわかりやすくて素晴らしいです。
ぜひご覧になってください。
スクリーンプレーの効果で見落とされがちなものの一つが、スペースが作れることです。
スクリーンプレーは2人が密集するという特性上、盤面ではほとんど4v4の同様の配置になります。
その結果、ダブルギャップを作り出すことができます。




DHOもスクリーンと同じ効果があります。
OFが2スパンでもダブルギャップができないケース
OFがしっかりと2スパンの位置にスペーシングしていても、ダブルギャップができないケースがあります。なぜなら”ギャップ”は(私の定義では)DF間の距離だからです。
当然ですが、(U18からは)DFはOFの位置に関わらず、任意の位置にポジションニングすることができます。
例えば次のケースです。

これらのケースはDFが過剰なフロートDFをしているケースです。
過剰なフロートDFに対しては、クイックパスでクローズアウトを誘発できますし、【ポジショニングの闘い】で整理したように、ロブタップが有効です。

全てはDF(とスペース)を見て判断します。
DFを見て判断すれば、シングルギャップへのドライブも有効
一方で、DF(とスペース)をみて判断するということをベースにすれば、シングルギャップへのドライブがすべて悪いかというと、そうではありません。
先述したように、システムとしてドライブのプレーをデザインする場合は、ダブルギャップができるようにデザインするのが基本にはなります。
しかし、システムでダブルギャップを作った場面しかドライブしなければ、DF側もドライブするタイミングが予測でき、ギャップを埋めるDFをしてきます。
それに対してDFがいるのに突っ込んでいってしまう・・・
これも良く見かける光景だと思いますが、これらのプレーはあまりにも「競争的思考」です。
自分たちがデザインしたOFを遂行する。それはもちろん非常に大切なことなのですが、それだけになるとDFのことを無視したOFになり「競争的なプレー」になってしまいます。
ドライブが有効な場面は、あくまで「ヘルプができない(しづらい)場面」であり、ダブルギャップは「ヘルプができない(しづらい)場面」の代表的な場面なだけなのです。
ダブルギャップをドライブすることが目的なのではなく、「ヘルプができない(しづらい)場面」をドライブするのが目的です。
手段が目的にならないように、目的をしっかりヒエラルキーの上部に持っていき、整理していくのがプレーモデルの大きな意義です。

「ヘルプができない(しづらい)場面」なのであれば、シングルギャップであろうとドライブは有効に機能します。
いくつか例をあげます。

ラストのドライブで3番が明らかにドライブスペースを消せないポジショニングをしています(シュルーダーに持たせないため)。
次も同じです。ジョーダンプールにもたせないDFをしているため、プールは無駄に動かず、攻めさせています。
ドライブも「なぜドライブする判断をしたか(根拠)」を問い続ける
育成年代では本当に「なんとなくドライブ」が多いです。
特によく見られるのが「やることがないからドライブ」です。
そういった場合ほとんどがスペースのないところにドライブすることになるので、TOVが非常に起きやすくなり、ただOFが失敗するだけではなくて、速攻を受けて失点しまう最悪の事態を招いてしまいます。
ドライブを仕掛けるには、ドライブが有効だと判断した根拠がやはり必要です。
それを選手に問い続けて、バスケットIQを向上させていきたいと考えます。
まとめ
広いスペースを作り、そのスペースを効果的に攻める
- 広く深くスペーシング
- スペーシングのためポジショニング
1.4ptラインを動く
2.スペーシングのためのスポットにステイする
①ヒューストンスポット ②コーナー ③ダンカースポット
- スペーシングのためポジショニング
- 広いスペースを攻める
- ダブルギャップをつくり攻める
①カッティングでダブルギャップを作る
②スクリーンでダブルギャップを作る
- ダブルギャップをつくり攻める
- スペーシングの基本は不用意(無目的)に3ptラインの内側に入らないこと
- そのために”4ptライン“を想定し、それよりも外側を動く
- 4ptラインを動くことで、パスラインを確保しやすくなる
- 4ptラインにポジショニングすることでC&Sの確率が上昇する
- スペーシングのためのスポットにステイ
- ヒューストンスポット(広さを作る)
- コーナー(広さを作る/深さを作る)
- ダンカースポット(深さを作る)
- ダンカースポットの活用はまだまだ徹底されていない印象
- スペーシングは広さだけでなく深さを意識。深さは「視野の闘い」が有利になるため重要
- 多くのプレーヤーは自分がどこに立っているかに意識を払えていない。意識的にポジショニングする、ポジショニングが重要だと認識するところからスタート
- ダブルギャップを攻める
- 整ったアライメントは基本的にシングルギャップしかできないので、カッティングやスクリーンでアライメントを崩してから攻める
- ドライブの目的は、「「ヘルプができない(しづらい)場面」をドライブすること。シングルギャップでもDFの状況によってはドライブが有効であるケースも多い。あくまでDFで判断する。
- ドライブを仕掛けるには、ドライブが有効だと判断した「プレーの根拠」が必要
















