#03-02-1_3-1【ポジショニングの戦い】 – DFの位置を見る
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ここまでの内容を振り返る
- この章についての振り返りを見る
-
2#03 Play Model攻防の基本原理
#03-02攻防の基本原則 INDEXシュートの期待値を上げる期待値の高いシュートとは何か。そのために必要なプレーは何か
- チームオフェンスの目標 – シュートの期待値を上げるための方法論
- 期待値の高いシュートを選択する
- DFを見て、DFのミスをつく
- 広いスペーシング・良いポジショニングで攻める【位置的優位性】
- チームで優位性【アドバンテージ】を作る/攻める
- 個人で優位性(アドバンテージ)を作る/攻める
この③章では、勝敗に関わる3要素
- シュートの期待値
- ORB
- TOV
のうち、【シュートの期待値】を上げるためのプレーモデル(プレーの原則)を示します。
3.DFを見て、DFのエラーをつくDFを見てDFにエラーに気づき、そのチャンスを的確につく
- DFの位置を見る ー【ポジショニングの闘い】
- DFの視野を見る ー【視野の闘い】
- DFの意図(動き)を見る/読む
この原則の目的は
DFを見てDFにエラーに気づき、そのチャンスを的確につく

ことです。
チームオフェンスの目標は、アドバンテージをクリエイトして攻めることですが、もっと根本の目的としては「ゴール下で簡単なシュートを打つ」ことがあります。
であれ、そもそもチャンスがある(DFにエラーがある)ならばクリエイトする必要がない。
この順序が逆になり、「チームオフェンスや戦術を遂行することが目的」のようなオフェンスならないようにプレーモデルを指導しなければいけません。
DFがエラーをしていてチャンスがあるならば、クリエイトをすっ飛ばして即座にそのエラーを攻めるOFが無駄のない効果的なオフェンスです。
そのためには、DFをしっかり見て、エラーに気づき的確に攻める能力が必要です。
どのDFをみるか、何を見るか
さて、見るべきDFは以下です。
どのDFを中心に見るか- ボールマン・・・ヘルプDF(自分のマークマン以外)を見る
- オフボール・・・自分のマークマンを見る
このDFを中心に見て、それぞれの
DFの何を見るか- DFの位置
- DFの視野
- DFの意図
についてのミスに気づき、それを的確についていくのが良いOFです。
【ポジショニングの闘い】 – DFの位置を見る
DFのポジショニングのエラーに気づき、的確ゴール下を攻める
- オフボール・・・自分のマークマンを見る
- DFよりリング側の位置を占める
- セミサークルでボールを受ける
- ゴール下(セミサークル)・インライン上を攻める
- ボールマン・・・ヘルプDFを見る
- インラインアタック
- ポジショニングの悪いヘルプDFを攻める
– ヘルプポジションにいないスペースを攻める
– マークマンを守れない位置にいるDFをパスで攻める
DFのポジショニングのエラーに気づき、的確にゴール下を攻める

ここでは、DFを見てDFのポジショニングのエラーに気づき、それを的確についてゴール下を攻めるためのプレーモデルを示します。
プレーの良し悪しはポジショニングによって決まると言っても過言ではなく、ポジション力を極めることがより重要です。

恩塚メソッドでもこのように言及されています。
OFもDFもコート上に立っている限り、常に「良いポジションを占め続ける」ことを意識し、そのための微調整をし続けなければなりません。
DFはボールや人が動くたびにポジション調整が必要になりますから、DFはボールや人が動くたびにエラーが発生する可能性があります。
よく言われる「ボールと人を動くのが良いオフェンス」というのは、このことからの逆算になります。
つまり、プレイヤーにDFのエラーに気づいて攻める能力がなければ、ボールと人を動かしても意味がないということになります。
とにかく動いてパスを回すけれども、誰もブレイクしないまま24秒だけが過ぎていくオフェンスです。実際にそのようなオフェンスになってしまっているケースは散見されます。
DFに”チート”を許さない
OFにDFのエラーを的確につく力がなければ、IQの高いDFやチームは、それを見透かして「先回り」して有利なポジショニングを取ることができます。これを「チート」と呼んでいます。
例えば、オフボールスクリーンでDFを見ることなくストレートで動いてくるOFであれば、DFは常にスライドで先回りをすることが可能です。これがチートです。これに対してOFはフレアーやピンをを使ってチートの代償を支払わせることが必要です。
それができて初めて、DFに「ファイトオーバーするのかスライドするのかスイッチするのか」という判断を迫ることができます。
DFのエラーを的確につく力ないということは、いわばじゃんけんでチョキしか出さないのと同じです。自分がチョキを出したいからチョキを出すんだというOFです。それならばDFは何も考えずに最初からグーを出していれば良いのです。これがチートです。

DFにチートさせないためにも、DFを見てエラーをつく力は重要です。
ポジショニングの”闘い”という表現
【ポジショニングの闘い】と次の節で示す【視野の闘い】はバスケットボールのプレーのベースになる部分だと私は考えています。
そしてこの
ポジショニングの”闘い”
という表現は私が個人的に使っているものですが、非常に気に入っています。
「視野の”戦い”」という表現が岡田メソッドにありそれがとても良いと思ったので、それと『競争闘争理論』の考え方を合わせて”闘い”に漢字を代えて、ポジショニングにも使っています。

この”闘い”イメージは、サバンナでライオンと獲物の動物が見つめあっている、あるいは剣道やボクシングで対峙しているイメージです。

今は何も動きはないけれども、一度どちらかに綻びが生まれたら一瞬で刈り取られるような”闘い”。
一瞬も気を抜けない、一瞬でも気を抜いたらやられる”闘い”です。
NBAを見ていたら本当にポジショニングの”闘い”がわかります。
何も起こらず普通に攻防が続くのは「お互いエラーなく良いポジションを占めているから」であって、何かエラーが生じた瞬間にブレイクが起きます。
いわゆる戦術が遂行されているということは、お互いエラーが起こっていない、逆にいうとエラーを起こさないように静かな”闘い”をしている結果なのです。
プレーヤーはコート上に立っている時間は常に【ポジショニングの闘い】と【視野の闘い】を仕掛けていなければいけません。
しかし、現状ではほとんどのプレーヤーはオフボールで「闘っていない」と思います。
まさに『競争闘争理論』で整理されていた「闘っていない」状況が日本のバスケットボールの課題だと感じています。
私の目標
私は、コートに立っている時間(クロックが動いている時間ではない)全てが「闘っている状態」の選手がバスケットIQの高い選手だと考えています。
それを体現しているのが前回言及したヨキッチ選手です。
コートに立っている時間常に「闘っている状態」であるプレーヤー5人をコートに送り出したい。
それが私の現在の指導の目標でもあります。
さて、本題に入っていきます。オフボールでの【ポジショニングの闘い】を整理していきます。
- DFよりリング側の位置を占める
- アウトサイドのバスケットカットでゴール下を攻める
- ロブパスでゴール下を攻める
①フロートDFをロブパスで攻める
②ドライブに対するヘルプDFをロブパスで攻める
③ルーズなDFをロブパスで攻める - シールでゴール下を攻める
①バックシールでゴール下を攻める
②アングルを変えてゴール下を攻める
- DFよりもボール側の位置を占める
- バスケットカットでセミサークルでボールを受ける
- シールをしてセミサークルで受ける
- ゴール下(セミサークル)・インライン上を攻める
ポジショニングの闘いとはつまり・・・
ポジショニングの闘いは非常に大切ですので、内容のボリュームも多くなってしまい、わかりにくさが生じてしまっているかもしれません。
したがって、まず簡潔にポジショニングの闘いとはつまり何なのか、をまとめておきます。
DFのポジショニングのミスを瞬時につくこと

ポジショニングの闘いを一言で言えばこのように表現できると考えます。
DFのポジショニングのミスを瞬時につくためには
- 「ポジショニングのミスとはどのような状態か」を知っている
- ポジショニングのミスを見逃さない
- 正しいポジションニングのDFに対して、ミスを誘発するような動きができる
と言ったことが必要になります。
それらをこの項で体系化していきます。
DFのエラーに気づくためには、当然ですがDFを見ていなければいけません。
前回示したように「どのDFを見るか」は非常に大切ですが、できていないプレーヤーが多いです。
- オフボール・・・自分のマークマンを見る
- ボールマン・・・ヘルプDF(自分のマークマン以外)を見る
基本的には、オフボールでは自分のマークマンを見て、自分のマークマンに【ポジショニングの闘い】を仕掛けます。
つまり、オフボールで、得点するためにすべきことは「自分のマークマンをやっつけること」です。
オフボールで自分のマークマンを見るには、ボールを見ながらマークマンを関節視野(周辺視野)で見るか、マークマンを見てボールを関節視野で見るかは場面や状況によりますが、どちらにせよ関節視野のスキルが重要になります。
関節視野が使えないため、オフボールでDFが見られず効果的なプレーができないプレーヤーが多いので、関節視野を使ってDFを見る練習が必要になります。
DFのエラーを誘発し、エラーを攻めるためには、そもそもDFの良いポジション(エラーのない状態)を整理しておかなければいけません。
オフボールDFの良いポジションとは以下の2点です
- マークマンよりリング側(内側)を占める
- マークマンよりボール側を占める
非常に基本的なことですが、とても大切です。
「こんなことは当たり前」と思われると思いますが、ある意味それがプレーモデルです。
複雑で凝った枝葉の部分ではなく、基本の幹の部分(勝敗への影響が大きい)を的確に効率的にプレーするための原理原則がプレーモデルです。

当たり前のこともしっかり考えていくと奥深いです。
- マークマンよりリング側(内側)を占める
- マークマンよりボール側を占める
ひとつひとつは単純なことですが、これを「“常に””同時に”満たす」のは簡単なことではありません。
さらにDFは次節の【視野の闘い】で整理する「視野の原則」も満たさなければなりません。
それら全てを完璧に満たすのは実際非常に困難です。
「エラー」の解像度を上げれば、DFは常に何かのエラーをしていると言っても過言ではなくなります(それが即得点につながるエラーなのかはまた別の問題ですが)。
DFよりリング側の位置を占める
DFはマークマンよりリング側(内側)を占めるのが「良いポジション」の基本でした。
では、OFはその裏返しで、DFよりもリング側の位置を占めることができれば、即ゴール下の得点につながるチャンスが生まれます。
まずは、アウトサイドからの「リング側の位置を占めるポジショニングの闘い」を考えていきましょう。
アウトサイドからゴール下を攻める場合、リングに対して真っ直ぐカッティングする(バスケットカット)動きが最も強いアクションです。
つまり、OFはインラインを攻めることが第一オプションとなります。
インラインへのカッティングに対して、DFが正しく守れるかがDFのポジションを見るときのポイントです。
OFは常にインラインへのカッティングを狙っていなければいけません。
▶︎ インラインをめぐるポジショニングの闘い


DFがパスラインに入ってきていたら即座にバックドアでインラインを攻める習慣をつけると良いでしょう。

カリーが動いてポジションを変えていっても、DFのシュルーダーはポジションのかなかったため、ポジショニングが高くなりすぎてエラーを起こしました。
そのエラーに気づき即インラインをカッティングして、相手よりリング側の位置でボールをもらうことができました。
次の動画はピックアップ時のポジションのエラーをついています。
スリップも原理的には「DFのエラーに気づき、インラインをカッティングしてゴール下を攻める」プレーです。
DFがハンドオフに警戒して少し離れたところをすかさずバックカット(インラインへのカッティング)で攻めています。さすがレブロンです。
これらの図解や動画を見ると、当たり前の普通のプレーに見てると思います。実際、難しいプレーではありません。
大切なのは、プレーヤーの優先順位の意識です。
このレブロンのプレーのケースでは、多くの育成年代のプレーヤーはそのままハンドオフのプレーを遂行してしまいます。
DFがタイトに守ってきたり、ハンドオフに対応する意図を見せても、そのまま予定通りのアクションを遂行してしまうのです。
その原因が「ハンドオフというプレーを遂行すること」が目的の思考(競争的思考)回路になっているからだと私は考えます。
すべてのプレーの目的として「ゴール下で良いシュートを打つ」という大前提(プレーモデル)があり、そのためのクリエイトで「ハンドオフ」をしているにすぎません。
いつでも第一オプションに「ゴール下を攻める」という意識があり、DFのエラーによりそのチャンスが発生すれば、すべてのプレーはキャンセルされて、ゴール下を攻めるプレーが選択されるべきです。
それが「闘争的思考」であると考えます。
DFのエラーによりゴール下を攻めるチャンスが生じたら、クリエイトする必要はないのです。即座にブレイク(この場合はバックカット)です。
それが、この章のキモ、伝えたい部分です。
|フロートDFに対してロブパスでゴール下を攻める
先ほどのバックカットを主としたバスケットカットでゴール下を攻めるプレーはわかりやすく、パサーも狙いを持ちやすいケースです。
一方で、フロートDFに対するプレーは育成年代では、そもそも「チャンスがある」と認知できていないプレーヤーが多いため、DFのエラーに対して適切につくことができず、「DFのやり得」になっていることが多く見られます。
このプレーでゴール下を攻められるようになると、オフボールのDFにプレッシャーがかかりまさに【ポジショニングの闘い】が生じてきます。


DFは大きくフロートすることで、強力なヘルプDFが可能になります。
よって、フロートDFを適切に攻めることができなければ、DFはフロートDFによりノーリスクでボールマンにプレッシャーをかけることができます(やり得)。
フロートDFに対するカウンタープレーはマークマンをファジーに守るvsゾーンDFでも有効です。そのためゾーンDFに近いノーミドルDFのようなヘルプを重視するDFシステムにも有効なプレーです。
次は次章の【視野の闘い】も含んでいますが、フロートDFに対してゴール下を攻める同じコンセプトです。
インサイドのプレイヤーも同様に、過剰なフロートに対してしっかりとロブパスを狙います。
これも私は「裏取り」と呼んで重視しているプレーです。
インサイドDFのオーバーフロートに対してロブパスで裏を狙う


|ドライブに対するヘルプDFをロブパスで攻める
ドライブヘルプに対してもロブパスが有効です。

ドライブに対してヘルプで出てきたDFに対してロブパスで通します。

これは局所的な2v1を攻めるパスとして有効なので、トランジションでの2v1でももちろん有効です。
|ルーズなDFをロブパスで攻める
フロートしているヘルプDFだけではなく、単純にゴール下付近でOFから離れているDFに対しても同様にロブパスが有効です。


人に対して離して守ることの多いゾーンDFはこのロブパスが非常に有効です。
逆にいうと、しっかりロブポスでゴール下を攻める感覚がないと、ゾーンDFが有効に機能してしまいハマってしまいます。
DFのポジショニングが難しいトランジションの局面でもこの狙いを持っていると守りづらくなります。
悪いポジションになった瞬間に狩られる感じがとても良いですよね。
まさに【ポジショニングの闘い】です。OFが常に狙っているとDFは気が抜けません。
これらはオーバーフロートしているわけではありませんが、トランジションでは特に後ろのスペースが広くなりやすいので、裏のロブパスが有効に使えます。
縦の空間を使うロブパスと、ロブパスに合わせるタップシュート
パスの選択肢にロブパスが入り、縦にパスが通せるようになると、一気に選択肢が増えます。
ロブパスが使えないと、DFの位置が左右のずれ(パスラインの確保)だけの認知になりますが、ロブパスが使えるようになるとDFの位置の前後のズレにも敏感になります。
そのことにより、DFがカバーしなければならない空間が、左右の「線」から前後左右の「面」に広がるので非常に守りづらくなります。さらにDFは高さ(自分の届く範囲)にも敏感になりポジションの調整を強いられます。
そして、ロブパスとセットなのが「タップシュート」です。
動画のNBAではアリウープをしていますが、私たちはタップシュートになります。
タップせずに着地してしまうとDFに密着されて試合タフなシュートが増えてしまうので、タップシュートは必須です。
タップは空中で判断する力やボディバランスなどを養うためにも非常に効果的ですので、おすすめです。
ロブ&タップ
は私がかなり重視しているスキルです。
次に、DFよりリング側の位置を占めた瞬間にシールして位置関係をロックして、ゴール下を攻めるプレーです。
|バックシールでゴール下を攻める


このケースでしっかりバックシールできる選手は本当に少ないと思います。
次はバックシールとは呼ばないかもしれませんが、「リング側のポジションをシールで固定する」というコンセプトで同様のプレーです。
リング側を占めた(DFエラー)瞬間にシールで固定
|アングルを変えてゴール下を攻める
パスが動くたびにDFの「良いポジション」は変化します。
“今”良いポジションを占めていても、パスが動くことで良いポジションではなくなるケースもあります。
その原理を利用して、パスでアングルを変えて、DFよりもリング側に位置を占められるようにしてゴール下を攻めるチャンスを作ります。
このプレーを個人的に単純に「アングル」と呼んでいます。
攻めのツボ「POA」
POA・・・Point of Attack
効果的な攻めのツボをPoint of Attackと呼びPOAと書きます。
これは一般的に使われているものなのかわかりませんが、『恩塚メソッド』にでてくるもので、良いなと感じたのでそれ以降使っています。
私の「POAの定義」は以下です。
バスケットボールの攻防の”構造上”チャンスができる、あるいは”構造上”守るのが困難なプレー
これは、多分恩塚さんの定義とは違うと思いますが、私はこれが使いやすいので使っています。
詳しくはPOAの記事で解説しますが、この「アングル」も私のプレーモデルのPOAのうちの一つです。




次はパスは入りませんでしたが、アングルが変わることで、DFが「良いポジション→悪いポジション」へ変わっているのがよくわかります。
オープンパスからアングル
バックシール(リング側を占める)していても、アングルを変えないとミスになるパターンが多いです。特に育成年代は気をつけたいところです。
動画を見るとわかるように、「DFの悪いポジションを固定」するシールの技術は非常に大切です。
シールも育成年代で軽視されているスキルだと感じています。
DFよりもボール側を占める
DFよりもリング側を占めることができれば、即得点につながるシュートを打つことができますので、まずはそのプレーを第一優先に【ポジショニングの闘い】を仕掛けます。
それに対して、DFはリング側を占められないようにポジショニングしてくるはずです。
すると今度は、DFがボール側を占めるポジショニングが困難になります。
このように
- マークマンよりリング側(内側)を占める
- マークマンよりボール側を占める
は、それぞれは難しくないように感じますが、同時に満たすことは困難で、それを的確に攻めていく”闘い”が重要なのです。

繰り返しになりますが、目的はゴール下で期待値の高いシュートを打つことです。
よって、たとえDFよりもボール側の位置を占めることができたとしてもそれがゴールから遠いところであれば、そのプレーの価値は低く積極的に狙うべきプレーではありません。
例えば、エルボーやネイルでボールを受けることが、上記のプレーになります。
エルボーやネイルでボールを受けることは、大切です。しかしそれは「クリエイト」の上で大切なのです。
今、整理しているのは、DFのポジショニングのエラーがあり、クリエイトしなくてもチャンス(得点につながる)がある場合です。
エルボーやネイルでボールを受けることはとても重要なプレーです。
しかし、その個々の「重要なプレー」にヒエラルキーをつけて整理して体系化するのがプレーモデルです。
ゴール下でシュートを打てるチャンスがあるのに、それに気づかずにフラッシュしてエルボーにミートしてしまう。あるあるですよね。
そういったプレーをなくし”闘う”ために、プレーモデルを整理して体系化し選手に伝えていきたいのです。

OFはアウトサイドやポストではなく、セミサークルでボールを受けることを狙います。
DFがボール側のポジションをしっかりと占められていないエラーをついてセミサークルでボールを受けましょう。



リング側の時と同様に、シールを使ってDFの悪いポジションを固定してセミサークルでパスを受けます。


ヨキッチは、切り替えの走りだしで、相手DFのポジションにエラーが起きていると瞬時に察知して、とこから相手が正しいポジションに復帰できないようにプレーしています。
ヨキッチにはボールは入りませんでしたが、常にこの闘いをしているのがヨキッチの凄さであり、強みです。
▶︎ オフボールDFに2択を迫る
- リング側を狙い、ボール側で受ける
- ボール側で釣って、リング側でもらう
【ポジショニングの闘い】ではまずDFをよく見て、DFのポジションにミスがあるならすかさずそれをつき、攻めます。
次に考えるべきは、DFのミスを誘う動きを遂行することです。
ただDFがポジションのミスをするのを待っているだけではなく、自らリング側を占めようと動く、あるいはボール側で受けようと動くことで、DFを誘い、動かしてミスを誘発させます。
これまでも書いたように、この【ポジショニングの闘い】は、DFが「リング側・ボール側の両方を同時に守ることが難しい」ため
- リング側を狙い、ボール側で受ける
- ボール側で釣ってリング側でもらう
というように、DFに2択を迫りながら、ポジショニングの闘いをすることが大切です。
ここまでDFにポジションのエラーがある場合に関して、リング側を占める、ボール側を占めるそれぞれについて解説してきました。
実際にはそれぞれを組み合わせて、DFにポジションのエラーを発生させるプレーを遂行します。
先述のように、OFのプレーとしては、すぐに得点につながる「リング側」でボールを受ける方が良いプレーになります。
したがって、基本的にはバックシールを狙い、それにDFが対応してきたらカウンターでフロントシールという流れになります。
このように、DFにとってゴール下が守りづらいエリアであるということを活かして2択を迫り、ポジショニングの闘いを仕掛けていきましょう。
ゴール下・インライン上を攻める
ここまで見てきた
- リング側を位置すること
- ボール側を位置すること
を前提にした上で、ポジショニングの闘いとして、ゴール下・インライン上を攻めることが大切です。
それは、DFにとってゴール下のインライン上は非常に守りづらい場所だからです。
▶︎ DFにとってゴール下は守りづらい
ゴール下は2つが同時に守れない
さて、DFが
- マークマンよりリング側(内側)を占める
- マークマンよりボール側を占める
の両方を満たすことが難しい場所はどこでしょうか。
それはズバリ、「ゴール下」さらには「インライン上」です。
DFにエラーを起こさせるためにはゴール下を積極的に狙いに行きます。
ゴール下のインライン上では両方を満たすポジションが取りづらい


図のようOFがゴール下のインライン上にポジションした場合1と2を同時に満たすことは困難(というか物理的に無理)だとわかります。
ゴール下①の場合は簡単にパスが入りますし
ゴール下②の場合は少しスキルは必要になりますが、裏パスが通れば簡単な2点につながります。
ではDFはどうするか。
横に密着して立つことになります。
横に密着して立つことを3/4ディナイとかスリークォーターディナイ、あるいは簡単に半身と呼びます。
- 3/4ディナイ・スリークォーターディナイ・半身
-
簡単にボールを入れられないように横から密着して守るDF方法
では、DFが3/4ディナイで守ってきた場合、OFはどうするか。
アングルを変えてパスを通します。
3/4ディナイにアングルを変えてパスを通す


このように、ゴール下すなわちセミサークルでは、ゴールに近く期待値の高いシュートが打てるというだけでなく、DF上手く守ることが難しいエリアなのです。
ゴール下では「DFの内線の利」が働かない
さらにDFがゴール下を守ることが困難な理由として、「内線の利」が働かないことが挙げられます。
「内線の利」とは吉井四郎氏の著作に出てくる用語で、「DFがリング側に位置することで、DFの方がOFよりも動く距離が短くなる」原理のことです。
しかし、ゴール付近のポジショニングの戦いでは、DFの方が動く距離が長くなるのです。


DFだけが頑張って動かなくては、良いポジションをとれない
よって、『#03-01-4_2-1期待値の高いエリアでのシュートを目指す』でも整理したように、まず第一にゴール下を攻めることを意図したOFを展開するべきなのです。
▶︎ DFを見てDFのミスを探りながらゴール下を攻めることでDFのミスを誘発
ここまでのオフボールでのポジショニングの闘いを簡潔に述べると、
DFを見て、DFのミスを探りながら、ゴール下を攻めることでDFのミスを誘発

ということになります。
しっかりとゴール下を攻めるということは、指導上軽視されがちで、5outなどのスペーシングの強調によって、ゴール下は単に素通りする場所になってしまっている選手が多いと感じます。
もちろんチームのサイズの事情などにより、ゴール下にボールを集めることが優位性にならない場合もあるとは思いますが、実際のところでは、日本の同年代のゲームにおいてすべてのマッチアップでサイズに不利があるというケースは少なく、ゴール下を攻める優位性は少なからずあると思います。
▶︎ スペーシングとゴール下を攻めることの二律背反
最後に、オフボールでのポジショニングの闘いの注意点を考えます。
ゴール下を攻めることは非常に有効ですが、闇雲にゴール下を攻めることは、ゴール付近にプレイヤーが密集しスペースが狭くなるデメリットがあります。
しっかりと整理しないと、スペースを広くし攻めることと、オフボールでゴール下を攻めることは二律背反になってしまいます。
ここでしっかり整理しておきたいと思います。
スペースを広げるのはゴール下を攻めるため
まず、スペースを広げる(=良いスペーシング)目的は、ゴール下を攻めるためだということをしっかりとチーム全体で共通認識をもっておきましょう。
スペースを広げてゴール下を広げているのは、そのスペース(ゴール下)にDFがいない状態を作ってアタックするためです。
ただ広がる、アウトサイドから攻める、ドリブルで1v1する、ことが目的なのではありません。
ゴール下にDFがいない状態を作ることで、あわよくば「ゴール下の1v0」が作れるわけです。「ゴール下の1v0」を作るためにスペースを広くしているのです。
ゴール下の1v0を作るアクションが、ボールマンのドライブなのか、オフボールでのカッティングやスクリーンなのか。
現在は育成年代のオフェンスが、ボールマンのドライブによってゴール下の1v0をつくるアクションに偏重していて、オフボールの動きが軽視されているため、プレイヤーのバスケットIQが高められていないと感じています。
ゴール下は「チャンスがある」ときに攻める
一方で、先述したように、闇雲にカッティングでゴール下に侵入すれば、単にDFをゴール下のスペースに連れていくだけの結果になり、スペーシングを潰してしまいます。
そのため、ここまでで整理したプレーモデルを原則として判断していく必要があります。
つまり、オフボールでゴール下を攻めるのは、DFがポジションのエラーを起こしていてチャンスがあるときです。
DFが正しく守っている状態でゴール下へカッティングしても守られてスペースが狭くなるだけです。
まずDFのミスに気づき、ミスを攻めてゴール下での簡単なシュートを狙ます。
その攻防(“闘い”)の中でゴール下へ侵入し、ゴール下のインライン上をめぐる1v1の攻防へと移っていくわけです。
インサイドのポストアップはモバイル
この考え方は、現代バスケでは主流になっています。
現代バスケでは、ポストアップは「モバイル」から行います。
「モバイル」というのは、トーステンロイブル氏が講習会で使っていた言葉です。要はPnRのダイブやカッティング(スクリーン後も含む)という動き(モバイル)からポストアップするということです。
止まった状態でのポストアップはDFが対応しやすく、またその場所に常にポジションすることからスペーシングが悪くなります。
90年代のように、センターがローポストへ位置して、三角形を作り、ウイングにパスを入れたらセンターが面取りする。というようなポストアップは現代ではほとんど見られません(例外はミスマッチのときです)。
さらに、その場合センターがボールをもらえるのは、ゴール下(セミサークル)ではなく、ローポストになってしまいます。ポストアップして攻めたい場所はあくまでゴール下です(そういう意味では(「”ポスト”アップ」という表現は正しくないかもしれません)。
ゴール下を攻める→ダメならローポスト
という目的から逆算した優先順位が大切です。
つまり、ポストアップに関してもここで整理したDFのミスをつく【ポジショニングの闘い】と同様に、PnRやオフボールスクリーンからダイブやカッティングでまず相手のミスつくプレーあるいはミスを誘発するプレーでセミサークルを攻めた後に、そのままセミサークルでポストアップするというオフェンスフローなのです。
ローポストではなくゴール下でボールをもらう意図があるのがわかります。
▶︎ ゴール下が攻められない場合、スペースを攻める
DFのポジショニングが悪い場合でも、ゴール下を攻めることが難しいケースもあります。
その場合、(ゴール下以外の)スペースを攻めることになります。


DFのエラーをつくという原則はどちらも同じです。
ただ、(特に育成年代の)指導では、目的からの逆算で「ゴール下を攻める」ことの重要性は強調しすぎてもし過ぎることはないくらいに考えています。
よって、ここではこのプレーモデルの目的にもあえて「ゴール下を攻める」と入れています。
DFのレベルが上がるにつれてゴール下を攻めることは難しくなっていくので、スペースを攻めることが増えてくるとは思います。
次はボールマンにおける【ポジショニングの闘い】です。
- インラインアタック
- ポジショニングの悪いヘルプDFを攻める
- ヘルプポジションにいないスペースをドリブルで攻める
- マークマンを守れない位置にいるDFをパスで攻める
- オフボール・・・自分のマークマンを見る
- ボールマン・・・ヘルプDF(自分のマークマン以外)を見る
これに関しても、逆になっているプレイヤーが多いです。ボールを持ったときに目の前の自分のDFを見ているケースです。
ボールを持ったらヘルプDFを見ます。
実際には攻めるべきゴール下のエリアを見て、そこに位置しているDFをスキャンするようなイメージです。
すると、自然に目の前にいる自分のマークマンも視界に入ってきます。
奥を見て、手前を感じます。逆はできません。
リングを見ろは正しいか
よく言われるのが、「ボールを持ったらリングを見ろ」です。そう習ってきた人も多いと思います。
間違いだとは思いませんが、私は正しくもないと考えています。
「リングを見ろ」を本当にシュート打たせるために言っているのか、攻め気を持たせるために言っているのか、スペースやDFを見て欲しくて言っているのかそれを選手に伝えるのが大切だと思いますし、そうであれば、別の言葉の方がいいかもしれません。
私は現在はボールを持ったら、「ゴール下のスペースを見てヘルプDFをスキャンする」が一番しっくりきています。
インラインアタック
ボールマンが「攻める」とは、「インラインをアタックすること」と定義します。

ボールマンにおける1v1の攻防とは、つまるところインラインをめぐる攻防、陣取りだと言い換えることができます。
NBAの1v1を見ていても「相手を抜く」ことより「インラインを確保する」ことの方を意識していると感じます。
よって、単純なスピードよりも、「1歩目の置き方」の方が重要です。

つまり、「ボールマンDFのエラー」とは「インライン上いない」ことになります。
もちろん大前提として、その場でフリーのシュートを打たれるポジションもDFのエラーです。


以上より、「ボールマンがDFのエラーに気づき攻める」とは、まずDFがインライン上からズレている場合、インラインをアタックすることになります。
ボールマンはヘルプDFを見るのではないのか?
ここで、これまでの内容から「ボールマンはヘルプDFを見るのではないのか?結局自分のマークマンを見ているではないか」と思われたかもしれませんが、実はそうではなりません。
そもそも、「ボールマンDFがインライン上からズレている」という状況が起こるケースは、ほとんどが「ボールをもらった瞬間」に起きます。
つまり、ボールをもらう前にほとんど認知と判断をしています。ボールをもらう前にDFが遅れていることを見ておいて、もらった瞬間にはインライン上からズレているだろうという予測のもとでボールをもらい、アタックします。
よって、「自分のDFを見る」のはこの場合でも、オフボールのときなのです。
ボールをもらった瞬間には、自分のマークマンの位置を見るのではなくて、ゴール下のスペースとヘルプDFをスキャンして、それと同時に「目の前のインライン上に誰もいない」状態であればすかさずアタックします。
つまり、自分のDFを見ているわけではなく、インラインを見ています。インライン上にDFがいるのかを見ています。この感覚はすごく重要だと考えています。
自分のDFを見るのではなく、インライン上にDFがいるかを見る

インラインアタックの考え方はゾーンに対するOFでも大切になります。
ポジショニングの悪いヘルプDFを攻める
- ヘルプポジションにいないスペースをドリブルで攻める
- マークマンを守れない位置にいるDFをパスで攻める
先ほどのインラインアタックは感覚でもわかりやすいので、指導はしやすいですが、多くのプレーヤーに時間をかけて指導していかなければいけないのが、この原則です。
ヘルプDFを見てヘルプDFのエラーを的確についていきます。
|ヘルプポジションにいないスペースをドリブルで攻める
ボールマン1v1で見るべきは、ヘルプポジションにDFがいるかどうかです。
ヘルプポジションにDFが正しくポジショニングしているのであれば、目の前のDFと1v1をしたところで、チームで守られてしまい期待値の高いシュートが打てる可能性は低いです。
その場合、つまりDFがエラーを起こしてない場合は、チームでクリエイトしてDFにエラーを起こさせる(=アドバンテージを作る)ことを目指します。
育成年代で1v1を指導するときに、「とにかく目の前のDFを破る」ことで指導が終わっている場合が多いように思えます。
もちろん、目の前のDFを破る力がなければ、そもそもヘルプの必要がありませんから、目の前のDFを破る力は必須です。その力を養う練習も必須です。
しかしそれで終わりではなく、むしろそこがスタートです。破った後に期待値の高いシュートを売って得点できるか、が重要です。
オフェンスの目的は常に得点することであり、目の前のDFを破って気持ちよくなることではないのです。
以上より、1v1する上ではヘルプDFを見る、破った後にヘルプDFと駆け引きする習慣をつけていくことが大切です。


次は、単純なヘルプDFのエラーというよりは、ボールマンとヘルプDFとの駆け引きが含まれるものです。
ヘルプDFを見て1v1していることがよくわかります。
この動画のシェイは視線見てもわかるように、ずっとヘルプDFを見ています。ヘルプDFのポジションから判断してドライブを始めて、ヘルプが来たらプルアップに切り替えています。目の前のDFは見ていなくて、感じています。
ウエストブルックはヘルプDFがカッティングに反応して、ヘルプポジションから離れた瞬間に攻めています。
|マークマンを守れない位置にいるDFをパスで攻める
次は、パスでDFを攻めます。
パスでDFを攻めることができなければ、ヘルプDFは過剰にヘルプポジションを取ることができるので自分の1v1が難しくなります。
ヘルプDFに簡単にヘルプさせないようにパスの能力が必要です。
オフボールのポジショニングの闘いでも取り上げましたが、過剰なヘルプ(オーバーフローとト)に対してロブで裏パスを狙います。
このプレーは、オフボールのプレーヤーもそれをつく意図が必要ですし、ボールマン(パサー)にもその意図が必要です。
よって、チームとしてこの狙いを指導し共有しないとうまく攻めることができません。
これが狙えるようになると、ヘルプDFは自分のマークマンを離して(フロート)ことにリスクと駆け引きが生じるため、ヘルプポジションいくことに躊躇いが生まれます。
そうなると、ゴール下を厚く守ることが難しくなります。
以上より、チームとして裏をロブパスで狙えるようになることは、単に「2点取る」以上の価値があります。
ヘルプDFに2択を迫る
ボールマンがヘルプDFを見て、以上の2つを攻められるようになると
- 大きくヘルプポジションを取る(過剰なフロート)→ロブタップ
- 自分のマークマンにつく→ドライブで攻める
というように、DFに2択を迫れるようになります。
これも繰り返し述べますが、バスケットボールは闘争競技なので、「相手に2択を迫る」ことはとてもとても重要です。
DFに選択を迫り、逆をつく。
または、選択を遅らせて先手をつく。これが闘争競技のベースです。
まとめ
DFのポジショニングのエラーに気づき、的確ゴール下を攻める
- オフボール・・・自分のマークマンを見る
- DFよりリング側の位置を占める
- セミサークルでボールを受ける
- ゴール下(セミサークル)・インライン上を攻める
- ボールマン・・・ヘルプDFを見る
- インラインアタック
- ポジショニングの悪いヘルプDFを攻める
– ヘルプポジションにいないスペースを攻める
– マークマンを守れない位置にいるDFをパスで攻める
- 「DFに”チート”を許さない」ためにもミスに気づきミスをつく力が大切
- フロートDFに対するロブパスのプレーは重要で、ゾーンDFにも有効
- バックカット、バックシールが第一オプション
- アウトサイドやポストでボールをもらうのではなく、「セミサークルでボールを受ける」
- リング側を狙い、ボール側で受ける。ボール側で釣ってリング側でもらう
- ゴール下・インライン上は「リング側・ボール側」の両方を満たすDFポジションが取れない
- しっかりとゴール下を攻めるということは、指導上軽視されがちで、ゴール下は単に素通りする場所になってしまっている選手が多いので注意
- ゴール下を闇雲に攻めるとスペースを潰してしまう。スペーシングとゴール下を攻めることの二律背反をしっかり整理して指導することが大切
- ポストアップは「モバイル」で、ゴール下を攻める→ダメならローポスト
- ボールマンはゴール下のスペース(奥)を見てヘルプDFをスキャンして、自分のマークマン(手前)は感じる
- ロブ&タップは、パサーレシーバー双方の意図が必要なのでチームとして指導がしなければできない
- 常にDFに2択を迫る















