#03-02-4_5-1 アウトナンバーを作らせない/オーバーナンバー【数的優位性】を作って守る
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2#03 Play Model攻防の基本原理
#03-02攻防の基本原則 INDEX相手のシュートの期待値を下げる期待値低いシュートを打たせ、得点効率を下げる。そのために必要なプレーは何か
- チームディフェンスの目標 – 期待値の低いシュートを打たせるための方法論
- 期待値の高いシュートを打たせない
- 適切なポジション・ビジョン・読み・トーク
- 良いポジショニングで、スペースを消す
- チームで優位性【アドバンテージ】を作らせない
この④章からはDFの原則になります。
④章では、勝敗に関わる3要素
- シュートの期待値
- ORB
- TOV
のうち、DFで相手の【シュートの期待値】を下げるためのプレーモデル(プレーの原則)を示します。
OF/DFは表裏一体
ここまでで、OFの「得点効率を上げるためのプレーの原則」を整理してきましたので、それらをさせないことがDFの原則となっていきます。
それを念頭に置いておけば、DFで何をすべきかは自ずと見えてくると思います。
5.チームで優位性【アドバンテージ】を作らせないOFにアドバンテージを作らせず、期待値の高いシュートを打たせない
- アウトナンバーを作らせない/オーバーナンバー【数的優位性】を作って守る
- ミスマッチ【個の優位性】を消す/ミスマッチ【個の優位性】で守る
- ズレ(separation)【場面的優位性】作らせない
この原則の目的は
OFにアドバンテージを作らせず、期待値の高いシュートを打たせない

OFは最終的にはこの3つのアドバンテージのどれか(あるいは複数)を作って、そこを攻めてきます。
したがって、DFを構築・改善していくにはこの3つのアドバンテージを作らせないためにはどうすれば良いか、を考え、実行していくことが重要になります。
OF/DF表裏一体を対応させて見てみます。
OFの原則 DFの原則 <期待値の高いシュートを打つために、チームで優位性【アドバンテージ】を作って攻める> <OFにアドバンテージを作らせず、期待値の高いシュートを打たせない> ①アウトナンバー【数的優位性】を攻める ①オーバーナンバー【数的優位性】を作って守る/作らせない ②ミスマッチ【個の優位性】を攻める ②ミスマッチ【個の優位性】を消す/ミスマッチ【個の優位性】で守る ③クローズアウト / ズレ(separation)【場面的優位性】を攻めるジショニング ③常ズレ(separation)【場面的優位性】作らせない
アウトナンバーを作らせない
オーバーナンバー【数的優位性】を作って守る
期待値の高いシュートを打たせないために、重要な場所を人数をかけて守る
- ペイントエリアを人数をかけて守る – Dock
- ボールサイドで数的優位を作る – ボールサイド4
- トランジションDFでは、ボールラインにスプリントバックしアウトナンバーを作らせない/オーバーナンバー(DFの数的優位)を作る
この原則の目的は以下のものです。
期待値の高いシュートを打たせないために、重要な場所を人数をかけて守る

最も強力なアドバンテージであるアウトナンバー【数的優位性】
最も強力なアドバンテージが”アウトナンバー”【数的優位性】です。
OFはアウトナンバーを作ることができれば、期待値の高いシュートを打つことができます。
そして、最もわかりやすくアウトナンバーを作ることができる戦術が速攻です。
その原理から、多くのチームが「堅守速攻」をテーマにしているのです。
裏返せば、「速攻を出されない」ということは、最もベーシックかつ最も重要なポイントであると言えます。
ハリバックをいかに練習するか
速攻を出されないためには、ハリバックする必要があります。いわゆるトランジションDFです。
上記の理由からトランジションDFは非常に大切で、JBAなどの海外のコーチが行うクリニックでは、トランジションDFにかなり力を入れていることが多いです。
しかし、日本の育成年代の練習においては、重要視しているチームが少ないように感じます。
ここも私が育成がプレーモデルからズレているなと感じる部分の一つです。
以前に書きましたが、「リバウンド」も軽視されていると感じています。
アメリカにコーチ研修に行った際には、リバウンドはかなり強調された練習でしたし、上記のようにDFにおいてもトランジションDFが重要視されていました。
やはりアメリカはバスケットボールの原理・原則(プレーモデル)に従った練習がなされているなと感じます。
一方で、アメリカの高校生の練習を見ても、日本人の方がフィニッシュ以外のスキルは平均的に高いのではないかとも感じました。
やはり、ここからは指導者がバスケットボールの原理原則をおさえて、プレーモデルを作成し指導していくことが重要だと思います。

一方で、トランジションDFの練習が難しいと感じるのも事実です。
OFが早く的確に攻めてくれないとトランジションDFの練習ができないからです。
自チームのレベルが一定まで達していないと、OFが下手がゆえにDFの練習にならないということが起きてしまいます。
トランジションDFに関わらずですが、そういった場合はやはり他チームの力を借りて、練習試合をお願いしてトランジションDFの重要性やできなさを身をもって何回も痛感しすることが大切だと思います。
自チームではある程度ドリル的なトランジションDFの練習をして練習試合で対人。
ある程度こなしていけば自然と慣れていく部分もあります。
闘争競技においては、試合が最高の練習になります。
トランジションDFにおいても、ハーフコートDFにおいても、いかなるときでもペイントエリアを重点的守らなければならないという原則は、すでに【期待値の高いエリアを優先的に守る】のところで整理しました。
そこのことから、考えると、ペイントエリアでアウトナンバーを作られるのが最悪のパターンです。
そしてDFとしてやりたいことは、ペイントエリアでなるべくオーバーナンバー(DF側の数的優位)を作るということです。
- アウトナンバー
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OFの人数が多い数的優位
- オーバーナンバー
-
DFの人数が多い数的優位
OFがペイントエリアに侵入しようとした場合は、人数をかけてペイントエリアを守ります。
目安としては、片足をペイントエリアに入れます。
皆がペイントエリアに足を入れている状態を”Dock”と呼んでいます。
“Dock”に関しては先述した「#03-02-4_2-2 期待値の高いエリアを優先的に守る」の項で紹介していますが、再度まとめておきます。
ペイントを守ることに直接的に関わる戦術として私が採用しているのは”Dock”というものです。
Dockというバスケットボール用語は、私が作ったもの(『岡田メソッド』からの転用)なので、一般に通用するものではありませんのでお気をつけください。

Dockという言葉は船着場とか母艦のようなイメージです。

画像のようなイメージで、みんながペイントエリアにくっつき(片足を入れる)ます。


ペイントを守るために、まずはDockの習慣を身につけさせます。
DFは原則として、ボールとリングをチームで守ります。
ということは、必然的にボールサイドに人数を割くのが最も効果的になります。


ウイングやコーナーにボールがあるときは、ボールサイド4を意識するのが良いと思います。
基本的は、これまで取り上げてきた
- ボールとリングを守る
- Dock
を意識してDFすると、ボールサイドでの数的優位が自然と作るようになります。
▶︎ ヘルプサイドは1人で2人を守る – Get two
次に、ボールサイドに数的優位を作った場合、必然的にヘルプサイドは数的不利が発生しています。
ですので、ヘルプサイドのDFは1人で2人守る意識が必要です。


このように、1人で2人守るDFのことを”Get two(ゲッツー)”と呼んでいます。
- Get two(ゲッツー)
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1人のDFが2人のOFを捉えている状態。
このDFはゾーン的な守り方になりますので、U15までの「ゾーン禁止」でどこまで許されるのか、については正直私はあまりわかっていません。
ですので、その辺りのチューニングは必要になってくると思いますが、コンセプトとしては変わりません。
最もこのことを意識してある意味ゾーン的に守っている高校のチームは正智深谷高校だと思います。
この正智深谷高校のDFはかなりゾーン的な極端なマンツーマンなので、これをそのまま採用するかどうかは別の話となりますが、極端だからこそわかりやすいので取り上げています。
ヘルプサイドはゾーン的になるというのはマンツーマンの基本的な考え方ですので、しっかりと指導したいところです。
最もアウトナンバーを作られやすいトランジションでのケースを整理します。
トランジションDFで期待値の高いシュートを打たれないために、徹底しなければいけないことは、ボールラインDFです。
- ボールライン
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ボールの位置からベースラインと並行に引いた仮想のライン
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マークマンの位置に関わらず、ボールラインまで下がってDFすることを「ボールラインDF」と呼んでいます。
画像のように、ボールラインDFをすることで、4v5のオーバーナンバー(DF側の数的優位)の状態が作れていることがわかります。

ボールラインにいち早く下がって、プラグDFしなかったことによりできたスペースをOFに攻められています
トランジションにおいて、相手に勢いがある場合、簡単にいうと感覚的に「ヤベッ!」と感じるケースを”ダウンヒル”と呼びます。
- ダウンヒル
-
下り坂という意味。下り坂を駆け抜けていくように、勢いがある状態をいう。
相手が”ダウンヒル”の状態であれば、単にボールラインまで戻るだけでは不十分で、全員がスプリントバックし、最も期待値の高いシュートの危険性の高いペイントエリアを人数をかけて守ります。
ペイントエリアにおいてオーバーナンバー、つまりDF側の数的優位性を作ることを目指します。
トランジションでペイントにスペースがある状態

ハリバックしてペイントに人数をかける

上記の動画のように、ビッグマンDFがスプリントバックすることは非常に大切です。
自分のマークマンが速攻に参加していない場合、同じようにゆっくりと戻ってくるプレーヤーが非常に多いです。
つまり、ボールから遠いプレーヤーが「自分とは関係ない(自分のマークマンにはやられていない)」という感覚な訳です。
自分のマークマンがボールに関わっていない状況で、自分がボールに関わってDFすることで、数的優位を作ることができるチャンスなんだという意識を定着させなけければいけません。
こういった「効率的なプレー」できることが「バスケIQ」だと考えています。
誰でもできることですが、ほとんどのチームでは徹底できていない。そういうプレーの中でで「勝敗に影響の大きい要素」を整理して徹底する。
そうすることで、個人の能力の劣るチームでも結果を出すことができると信じています。
バスケIQ × ハードワーク
これで能力差を覆すようなチームが私の理想です。

まとめ
数的優位を作らせず、期待値の高いシュートを打たれない。
数的優位を作って、期待値の低いシュートへ誘導する
- ペイントエリアを人数をかけて守る – Dock
- トランジションDFでは、ボールラインにスプリントバックしアウトナンバーを作らせない/オーバーナンバー(DFの数的優位)を作る
- 最も強力なアドバンテージが”アウトナンバー”【数的優位性】である。アウトナンバーを作らせないこと、そしてオーバーナンバー(DF側の数的優位)を作ることが大切。
- ペイントアタックに対して、片足をペイントエリアに入れDockで守る。
- 数的優位を作って守るために、ボールサイド4を意識する。
- ボールサイド4の裏側のヘルプサイドは1v2ができるため、ゲッツーで守る。
- ヘルプサイドのDFはゾーン的になるのがマンツーマンの基本。
- トランジションDFの局面では、ボールランDFで数的優位を作る。
- 相手がダウンヒルであれば、ペイントまで戻る。
- バスケIQ × ハードワークで能力差を覆す。
















